サロン向けにコンサルティングをしていると、よくこんな相談を受けます。

「ホットペッパーのようなクーポンサイトを使わないと集客できない」

「チラシでもタウン誌でもクーポンをつけないとお客さんが来ない」

「安さで勝負してしまっているのを抜け出したけど、抜け出し方がわからない」

「クーポン目当てのお客さんだとリピートしてくれない」

これらの悩みの根幹は、安売りを餌に集客していると苦しいということでしょう。

そのそも、安売り集客がやめられないと

・安い客単価でたくさん働く必要があり、忙しいのに儲からない

・客層は値上げをすると浮気するお客さんばかり

・クレーマー的な厄介なお客さんが増える

というデメリットがあります。

要するに安売り集客とは、安い単価で忙しく働かなければならないのに、客層は悪いしリピートもしないで集客コストばかりかかる。

そんな最悪の手段です。

この安売り集客がやめられると

・高単価でも売れるので短い労働時間で今と同じ売上に

・客層は「あなたにお願いしたい」というお客さんばかりで長くお付き合いできる

・あなたのことが好きで信頼しているお客さんに囲まれる

という好循環に入ります。

「そんな事はわかっているけど、でもどうやったら安売りから抜け出せるのかがわからない!」

そんなあなたのために、この脱・安売り集客の5ステップを書いています。

安売り集客に陥る最大の原因

5ステップに入る前に、なぜ安売りを脱せないのかという原因についてお話しします。

何事も問題というのは原因がわかれば対策がわかるからです。

あなたが安売り集客をやめられない原因はたったひとつです。

それは、「技術」を売っているからです。

こういうと、
「え、でも技術職だから技術を売るのが当然じゃ、、、」
と思うかもしれません。

しかしお客さんが本当に欲しいものは、単純に高い技術ではありません。

私たちが本当に売るべきものは「お客さんにとっての理想の未来」を売るべきです。

つまり、お客さんは解決したい悩みがあって、その悩みが一人で解決できないからプロであるあなたを頼っています。

お客さんの理想の未来に連れていくのが私たちの仕事です。

プロである我々は
「あなたの悩みを解決し、理想の未来に導きます!」
とお約束して実際に解決することでお金をいただきます。

とはいえ、技術力がいらないという意味ではありません。

高い技術を持っているというのは、お客さんからしたら当たり前のことです。

技術力というのは、平均点を取るために必要なものであり、技術力があるから集客ができたりリピーターが生まれたりするわけではありません。

「お客さんの理想の未来」を売って業績が伸びた事例

メイクレッスンの販売

プロ向けではなく、一般女性に向けてメイクのやり方を教えるレッスンの販売の事例です。

ここは、体験レッスンに来てもらって、気に入ったら本講座を購入してもらうという流れで販売をしています。

売り方はエステサロンに似ていますね。

講師の方は、メイクさんだったら誰もが憧れるような立派な経歴、実績の持ち主なのに、価格は超安売り。

1回2時間のレッスンの5回コースが5万円程度。
体験レッスンは1000円。

「値上げはしないんですか?」
と聞くと

「値上げをしたら体験レッスンにお客さんが来なくなって、レッスンも売れなくなってしまったんです…」

と言っていました。

しかし話を聞くと素敵なコンセプトを持っていました。

そのコンセプトが、
「コンプレックスをメイクで輝く」

メイクでコンプレックスを個性や自信にしようというコンセプトでした。

言い換えれば、お客さんの理想の未来である「メイクで自信をつけたい!」に応えるものだったんです。

しかし、集客ページでも、セールスでも、それが全然打ち出せていませんでした。

そこで、文章やトークを変えることで理想の未来を売り始めたところ、、、

5回コースは5万円から 10万円へ。
体験の1000円は5000円へ。

一番大きいのは休みが取れるようになったことです。

月商100万円を達成するためには休みなしで働かなければなりませんでしたが、値上げをすることで稼働数が半分以下でも100万円を達成できるようになりました。

リラクゼーションサロン

次はリラクゼーションサロンの事例です。

ここは、ボディケア整体とエステの2本立てでやっており、リピート率も高く、時間単価も6000〜1万円でこのまま行っても経営は安定しているだろうというようなサロンでした。

しかし、売っていたのはリラク(エステ)の技術であり、理想の未来ではありませんでした。

色々とお話を伺う中で、お客さんにはママさんが多く、ママのサポートをしたいというご本人の希望も出てきました。

そこで、産後太りダイエットのプログラムを作り販売しました。

訴求した理想の未来は「女性としての美しさを取り戻し、余裕ができて子どもにも優しくなれる」です。

22万円のダイエットプログラムが、ほとんどセールスらしいセールスをすることもなく、しれっと売れたのです。

この事例はあとで詳しくご説明しますね。

コンディショニングの事例

これは、コンディショニングというパーソナルトレーニングで肩こりや腰痛などを治すお仕事をされている方から聞いた話です。

私の元にご相談にいらした時点では、すでに理想の未来を売られていたのですが、そのビフォーアフターが典型的なのでご紹介します。

元々彼も、治療の技術を売っていました。

1回1時間5000円で施術をしていたのですが、5〜6回来るとお客さんが治りきる前に途中から来なくなってしまっていたそうです。

ちゃんと通ってくれれば改善させる自信があるのに、、、

そう思った彼は、これまで来たお客さんがなんと言って来ていたのかを振り返りました。

「腰が痛くて趣味のゴルフがもうできなくて」
「体が痛くて旅行に行く気にならない」

そう言うお客さんが多かったので「体が治ってやりたいことをやりたいだけできる生活」という理想の未来を売り始めました。

その理想の未来に到達するためには、20回は来てもらわないとダメだと思い、20回10万円のコースで販売。

結果として、お客さんは理想の未来を手にすることができ、20回終わった後も継続的にメンテナンスに来てくれているそうです。

(なお、この話を掲載するにあたってご連絡してみたところ、現在では10回20万円になり1回単価が4倍になっているそうです。
理想の未来を売ることの重要性が良くわかりますね。)

脱・安売り集客の5ステップとは?

これらの事例で、技術を売らずに理想の未来を売れば安売りをやめられることがわかったと思います。

そのためには、クーポンサイトをやめるとか、集客の媒体を変えるとか、そう言った小手先のテクニックではなく、商品の企画段階から見直していくべきです。

では、安売り集客を脱するための5ステップをお伝えします。

  1. 顧客を絞る
  2. 顧客の理想と現実を知る
  3. 理想の未来へ導く商品を企画する
  4. 商品販売全体をデザインする
  5. 実際に集客する

多くの人は集客を改善しようとしますが、本来であれば集客までに色々とやることがあります。

準備もなしに集客をすると、安売りという最も安直で経営者の思考停止を招き、ビジネスにとっても顧客にとってもベストではない状況に陥るんです。

上記の5ステップを踏んでいくことで、安い以外のあなたの店を選ぶ理由を作っていきます。

ステップ1:顧客を絞る

安売りを脱却するためには、まずあなたのお客さんが誰かを知る必要があります。

そのためにはお客さんに絞る必要があります。

「顧客を絞るとお客さんが減るのでは?」

そんな風に不安になるかもしれませんが、顧客を絞らないと八方美人的な誰にも求められない商品が出来上がります。

顧客を絞ることで、サービスは何かに特化することになり、かえって目立つようになります。

さらに言えば、「この人をこんな未来に連れていく!」と売り手側の企画も立てやすくなりますし、企画がわかりやすければ集客も販売もしやすくなります。

しかも、似たような属性のお客さんばかり来てくれれば、サービス品質も集中して上がりますから顧客満足度が上げやすくなります。

ファスティングサロンでの失敗例

私がこの業界に入って最初にいただいた仕事が、ファスティングプログラムの集客・販売のサポートでした。

ファスティングというのはご存知の通り、断食です。

当時雑誌などでも話題になっていたので、私も名前だけは聞いたことがありましたが、どんな効果があるのかがよくわからずヒアリングをしている中で、クライアントは私にアツく語りました。

「ファスティングは、美容にも健康にもいいものです!」

「ダイエットにもなるし、デトックスされて美肌効果もあります!」

「予防医学といって医者いらずになるし、健康長寿のためにはこれが一番!」

「老若男女、誰にでも有益だからみんなやったほうがいい!」

そこで私は、

「なるほど、ファスティングというのは無敵の美容健康法なんだな」

と思い、「無敵の美容健康法」として訴求した広告を出しました。

つまり、ターゲットが全く絞られていない状態です。

結果、広告費を10万使っても1人も集客できませんでした。

「なんでもできる」というのは、選ばれる要因になりません。

多芸は無芸という言葉もある通り、お客さんからすると「何ができるかよくわからない」となってしまいます。

そこで、もっと訴求をシンプルにしようと改善をし、ダイエットにフォーカスしました。

当時はファスティングはダイエットの文脈でばかり語られていたからです。

美肌効果や健康にいいという話は副次的な効果として打ち出し、メインをダイエットに据えました。

そこの女性インストラクターが過去ファスティングで10キロ痩せた経験があったので、「10キロ痩せたい女性」をメインターゲットにしました。

その結果、お客さんからもなんの広告かわかりやすくなり集客できるようになりました。

考えるべき2つの顧客像

顧客を絞るとは、「誰とお付き合いしたくてどんな人とはお付き合いしたくないのか」をはっきりさせることです。

前半の「誰とお付き合いしたいか」というのをマーケティング用語で『ペルソナ』と言います。

後半の「誰とお付き合いしたくないか」ですが、接客業である以上これも基準をはっきりさせておくとストレスが少ないです。

ここでは、ペルソナと不良客の設定についてお伝えしていきます。

ペルソナ設定

ペルソナというのは、ターゲットを1人の人間に落とし込んだもののことです。

名前、性別、年齢、家族構成、仕事、年収、悩みなどを具体的な1人の人間のプロフィールを書く様に作っていきます。

しかし、一からペルソナを作ると、実在しないお客さんを集めることになりかねません。

そこで私がオススメしている方法は、これまでに来たお客さんの中から1人選ぶことです。

以下の3ステップでペルソナ設定をしていきましょう。

①ペルソナを選ぶ

まず最初に、お客さんの中からペルソナを選びます。

「この人と長くお付き合いできたら嬉しいな」
「この人、力になってあげたいな」

と思う人がいいでしょう。

そのお客さんみたいな人とばかりお付き合いできたらストレスが減りますよね。

②その人の社会的状況を書き出す

1人決めたら、その人のプロフィールを書き出していきます。

社会的状況というのは、その人が置かれているありとあらゆる状況のことです。

例えば年齢、性別、家族構成、職業や仕事内容、居住地、休日の過ごし方など、その人が置かれているありとあらゆる状況のことです。

③心理的状況を書き出す

最後にその人の内面を書いていきます。

どんなことで悩んでいるのか、なぜ悩んでいるのか、どうなりたいのか、密かに望んでいることは何か。

こういったことをわかる範囲で書き出していきます。

不良客の基準作り

次に不良客です。

不良客はペルソナと違い、具体的なお客さん像を思い浮かべても意味がありません。

こういう行動の人はアウトという基準を作っていくイメージです。

例えば、

  • 連絡なしでキャンセルする
  • 30分以上の遅刻をする
  • 無理難題を言う

のように行動ベースで書き出していきましょう。

これを書き出すことで、自分が何が嫌かがわかりますし、店のルールを作って対応策を講じることもできます。

①嫌なお客さんを思い浮かべる

こういうことするお客さんは断りたいと漠然と考えているだけだと抜け漏れがあります。

過去にいた(あるいは現在もいる)、あなたにとってあまり歓迎したくないお客さんを思い浮かべると色々と出てくるはずです。

②その人の嫌だった行動を書き出す

その人の悪口を書き出しても意味がありませんので、その人の「困ったなあ」「嫌だな」と感じた具体的な行動や発言を書き出しましょう。

これは公開するものではないので、なんでも素直に書きましょう。

未来のあなたのストレスを減らすためです。

一通り出したら、それがあなたの不良客の条件です。
活用については後述していきます。

また同時に、お客さんを不良客にしないルールづくりも考えておくと不幸な衝突が少なくなります。

ステップ2:顧客の理想と現実を知る

ペルソナを書き出しながらわかったと思いますが、お客さんの心理的状況というのはそうスラスラと出てきません。

私たちはお客さんのことを理解している様で、全然理解していません。

このステップでは、顧客リサーチをしていきます。

顧客理解ができれば、何を求めているのかを理解した上でのサービス提供なので満足度が上がります。

また、人は自分を理解してくれている人を好きになりやすいので、サロンの様なリピートビジネスでは特に関係を作りやすくなります。

何より、解決したいことをドンピシャで解決してくれるなら、多少高くてもお金を払いますから、お客さんに感謝されながら客単価を上げていくこともできます。

顧客の理想と現実は?

ここでは理想と現実という言葉を使っていますが、「痛みと快楽」「得たい欲と避けたい欲」とも言われます。

お客さんは今の現実が痛くて仕方がありませんし、何かを避けたいと思っているからあなたの商品を書いたいんです。

冒頭から一貫して理想の未来を売ろうということをお伝えしていますが、言い換えれば「現実を理想に変える」という変化、ビフォーアフターを売っています。

現実とは、今の痛い現状のこと。

  • 悩み
  • 動機
  • 解決の壁

理想とは、得たい未来のこと

  • 欲しい結果
  • 理想の未来

この5つを理解できると顧客理解の精度が上がります。

事例を出してみましょう。

ダイエットの例

例えば、ダイエット一つとっても、理想と現実は色々とあります。
例えばあなたがパーソナルトレーニングを売っているとしましょう。

悩み

ダイエットの悩みは単に「痩せたい」ではなく、細かく見ていけば色々あります。

体重を落としたいのか、スタイルアップなのか、脚やせなどの部分で悩んでいるのか。

体重を落としたいとすれば、5キロ痩せたいのか、10キロ痩せたいのか。

どんな悩みなのか知ることで、集客の際に顧客の共感を呼ぶようなテキストを書くことができます。

動機

ダイエットをしようと決意した理由、痩せたい理由は何かです。

私自身や私の身の回りを見てもダイエットの動機は様々です。

私は産後たるんだ自分の身体を鏡で見て、絶望してダイエットをしました。

着れてた服が着れなくなってダイエットをしようと思った知人がいます。

健康診断で「このままだと死にます」と言われてダイエットをした知人もいます。

動機というのは強く感情が動かされますから、これを知れると集客やセールスで成約しやすくなります。

解決の壁

痩せたいという悩みがあるなら痩せればいいのに、その人は痩せていないわけです。

ということは、解決できない壁があるということ。

例えば、運動が嫌いで続かないとか、一人で継続できないとか、そもそも痩せかたがわからないなど、何かしら解決できない理由があるはずです。

裏返せばこれは、なぜあなたの商品を購入するのかという理由につながります。

欲しい結果

悩みと対になる部分です。

その悩みが解決した状態とは、どんな状態かがこれに当たります。

5キロ痩せたい人に10キロ痩せるコースを進めても購入するわけがありませんから、お客さんがどんな結果がほしいのかを知る必要があります。

そもそもほしい結果が体重じゃない場合もあります。

理想の未来

動機の対になる部分です。

お客さんが欲しい結果を得たら、どうなると思っているかです。

上で出した私の例だと、「痩せたら鏡を見るのが苦痛でなくなって、自尊心を回復できる」ということを期待してダイエットをしました。

服が着れなくなった知人は、「痩せて綺麗になってワンピースを着て、合コンに行ってモテたい」と言っていました。

健康診断で痩せないと死ぬと言われた知人は「痩せて健康になって長生きしたい」と言っていました。

ダイエットのゴールは痩せることではありません。
このような理想の未来を得たいから、ダイエットをするわけです。

顧客理解の3ステップ

顧客理解をする上で、絶対にやってはいけないのが

「あの人はこの前こう言っていたから、こうだろう」

と決めつけることです。

経営の神様と呼ばれるドラッガーがこんなことを言っています。

「顧客を想像してはいけない、直接聞かねばならない」

つまり、インタビューをする必要があるということです。

ステップ1:顧客にアポを取る

実際にあなたの商品を購入した人に話を聞きましょう。

しかも、インタビューはお客様の声として販促にも利用できるので一石二鳥です。

誰に話を聞くかですが、ペルソナに近い属性の人2~3人から話を聞きましょう。

どうやってアポを取ればいいですか?と不安に思う方もいますが

「販促のために顧客インタビューをさせてほしい」
「リサーチのためにお話を聞かせてほしい」

など、普通にアポイントを取りましょう。

もしなんの見返りもなく相手の時間を使うのが申し訳ないと思うのであれば、クーポンや無料でサンプルなど、お礼を用意しても良いでしょう。

関係のできている相手であればお願いすれば応えてくれます。

ステップ2:実際にインタビューをする

顧客理解をする上で、アンケートではなくなぜインタビューかというと、深く聞く必要があるからです。

そもそもアンケートとは多くの母数があれば有効な手段ですが、母数が少ないのであれば有効性に疑問があります。

なので、小規模の店舗ビジネスであれば2~3人に深く話を聞いた方が、よほど顧客のことを深く知ることができます。

インタビュー時間は1時間くらいじっくり話が聞けると良いです。

インタビューで聞くべきポイントは2つです。

①過去現在未来の時間軸で話を聞いていく

過去とは、購入前にどんなことで悩んでいたのか。

現在とは、サービスを受けている最中の感想。

未来とは、サービスを受け終わっているのであればどんな変化があったか。
もし受け終わっていないのであれば、悩みが解決したら何をしたいか。

この過去現在未来の3つを時間軸順に聞いていくのがインタビューの全体像です。

②短く質問して深掘りする

過去現在未来の一問一答では意味がありません。

今回の目的は、深く知ることです。

つまり、相手によりたくさんのことを話してもらう必要があります。

相手にたくさん話してもらうためのポイントは、こちらが短く問いかけていくことです。

「なぜ?」「具体的には?」「例えば?」など、短く問いかけていくことで相手からどんどん回答を引き出します。

深掘りの一つの基準として、感情的なエピソードが出てくるまで深掘りすることです。

例えば、先ほどのダイエット例であれば、、、

店「うちに来る前はどんなことで悩んでましたか?」

客「痩せたいって思ってました」

店「なぜですか?」

客「以前はけてたスカートが履けなくてショックだったんですよね」

というイメージです。

この「スカートが履けなくてショックだった」というのが感情的なエピソードです。

実際の会話ではこんな簡単にエピソードが出てくるわけではありませんが、こう言ったエピソードが出てくるまで短く問いかけていくイメージです。

ステップ3:インタビューの結果をまとめる

インタビューしっぱなしでは意味がありません。

インタビューした結果、顧客理解を深めていき、自社のマーケティングに役立たせる必要があります。

私がオススメしているのは、ノートに理想と現実を書き出すことです。

ノートの左半分を現実、右半分を理想を書き出します。

現実は感情的なエピソードを中心に出来るだけ細かく書き出します。
理想は特に、相手が使った言葉のまま書き出すことがポイントです。

ここでまとめたことを、集客のページや接客・セールスで生かします。

「こんな現実があってこんな理想が欲しくないですか?」

と提案をしてみて、反応を見てブラッシュアップしていくイメージです。

ステップ3:顧客の理想の未来へ連れていく商品を企画する

お客さんが欲しい未来がわかったのであれば、次はどうやってその未来まで連れていくかです。

つまり商品企画を作ることです。

商品企画を適当にしてしまうと、やっぱり癖で技術を売ってしまいがちです。

  • 世界が認めたインカラミトリートメント
  • 熟練セラピストがオールハンドで
  • 最新機器のハイフをこの地域で唯一導入しています

これらはざっとホットペッパーから持ってきましたが、お客さんに伝わらないし技術で集客するのはむずかしいですし、リピートする理由が作れませんから回数券なども売れにくいです。

商品企画をきちんとやれば、お客さんに理想の未来を提案でき、高度な集客テクニックやセールステクニックが不要になります。
最低限のスキルで十分になるわけです。

ヒット商品の事例

ミラーレスカメラ EOS KISS

「技術の違いっていうのは、素人のお客さんにはわからない」

といわれても、技術職だとピンと来ないかもしれません。

なぜなら依然として、腕が良ければ集客できるという業界の常識があるからです。

というわけで、異業種のカメラメーカーの例を挙げます。

メーカーというのも技術職に似ていて、スペック(技術)を売りがちな業界です。

  • F値
  • シャッタースピード
  • 画素数
  • 望遠レンズ・広角レンズ
  • ISO感度

上記はカメラのスペックを表す用語ですが、あなたはこれらのスペックを羅列されて、自分がどのカメラを選ぶべきかわかりますか?

プロだったり、カメラに詳しい人ならわかると思いますが、多くの人はよくわからないですよね。

スマホの台頭もあり、カメラの売れ行きはどんどん減っています。

その中で、17年連続で世界シェアをとっているカメラがあります。

それがこのCanonのEOSシリーズ。
中でもEOS Kissはカメラ初心者にも扱いやすいと評判です。

そんなEOS Kissの訴求点は
「運動会で我が子の勇姿をきれいに撮れる」
です。

カメラのスペックではなく、顧客が欲しい未来を訴求しています。

このように、私たちも技術ではなく、顧客の欲しい未来を企画に盛り込むべきです。

パーソナルトレーニング RIZAP

日本でパーソナルトレーニングが市民権を得たのはライザップのおかげではないでしょうか。

有名なキャッチコピーは「2ヶ月でこのカラダ」ですよね。

体型のビフォーアフターを売っているわけですが、アフターというのが理想の未来なわけです。

決してパーソナルトレーニングの指導の技術が高いとか、トレーナーの質がいいとか、技術を売っているわけではありません。

そもそも、ライザップに通う人はトレーニングしたくてしたくてたまらないわけではありません。

できれば家でゴロゴロしてたいけど、でも痩せられないから仕方なくトレーニングしようという人が大半でしょう。

そういう人にトレーニングの質がいいと技術を訴求しても意味がありません。

美容室 オーシャントーキョー

メンズサロンブームの立役者といわれるオーシャントーキョーという美容室の例です。

東京23区内のカットの平均金額が4024円とのことですが、青山・原宿エリアだとカット料金の相場が5000〜7000円くらいかなと思います。

そんな中オーシャントーキョーの代表カットは13200円(2020年12月現在)です。

代表挨拶を見ると「人生が変わる髪型」「最高にかっこいい自分」というようなことが書かれています。

ここも、カットの技術を売っているのではなく、「最高にかっこいい自分になれる」という理想の未来を売っているんですね。

理想の未来を提供するための商品企画3ステップ

商品企画とは、商品誰に届けるのかを決め、そして価格と内容を作っていく一連の企画のことです。

お客さんを理想の未来に連れて行く手段として、商品があります。

①商品コンセプトを明確にする

コンセプトを明確にといわれると難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「誰のどんな課題をどうやって解決するのか?」を明確にすることです。

誰のというのは、ステップ1で作ったペルソナ。
課題をというのは、ステップ2でリサーチしたペルソナの悩みや課題。
解決策が今回企画する商品の中身です。

  • ペルソナ
  • 課題
  • 解決策

この3つが重なったところに売れるコンセプトが出来上がります。

なので、ステップ1,2をしっかりやっていればそんなに難しくはないはずです。

②ゴールを設定する

ゴールというのは、お客さんの理想の未来のことです。

これもステップ2の顧客リサーチの結果をもとに、ゴール設定をします。

このゴールは、実際に接客の現場でも使いますから必ず書き留めておいてくださいね。

③メニュー表を作る

商品内容は、理想の未来まで連れていけるものする必要があります。

そうすると、必然的に1回の来店で叶えることはできませんよね。

通ってもらうことが前提になりますから、回数券の販売や、プログラム化して高単価商品を販売することもできます。

回数券などで先にまとめてお支払いしてもらえれば、経営的にはキャッシュフローが良くなるのでオススメです。

ただし、高額なものを売るのにはコツがあります。

それが松竹梅の法則です

あなたもどこかでみたことがあると思いますが、

  • 松コース:7000円
  • 竹コース:5000円
  • 梅コース:3000円

のように、3種類の価格があると真ん中の竹が選ばれやすいという法則です。

今回は同じコンセプトで3種類の価格を作るイメージです。

  • 松=上位商品
    (より遠いゴールやより手厚いサポート)
  • 竹=ベーシックの売れ筋商品
    (利益率が最も高い)
  • 梅=取りこぼしのないような商品
    (単発商品など)

というように作っていきます。

では具体的にメニュー表を作る手順をお伝えしていきます。

1.商品名・コース名を決める

顧客が最初に目に入れるところが商品名ですから、最初はここから作りましょう。

ここでグッとくるネーミングにする必要があります。

ゴールを盛り込んで、どんな未来に連れて行くかをわかりやすく伝えることがポイントです。

いくつか例示しましょう。

  • 3ヶ月集中ダイエットプログラム
  • 松:フルサポート-10kgコース
  • 竹:ベーシックサポート−5kgコース
  • 梅:自宅でダイエットコース(ダイエット動画の販売)
  • 赤ちゃん肌を作る美肌プログラム
  • フルサポート
  • ベーシックサポート
  • 化粧品のみの販売
  • 毎朝10分で激変!メイクレッスン
  • 脱マンネリメイクコース 10回
  • フルメイク修得コース  5回
  • 忙しいあなたのためのスピード修得コース 3回
2.それぞれの価格を決める

商品の次に顧客が目に入れるところが価格です。

そもそも価格とは、ゴールに対して感じる価値です。

例えば、長年ダイエットに困っている人なら「3ヶ月で10キロ痩せられるなら30万は安い!」と感じるかもしれませんね。

だからこそ、ステップ2の顧客理解が重要なんです。

とはいえ、高額商品で値付けしにくい場合、まずは仮でつけてみて何人かに販売してみて価格を調整するというのも一つの手です。

私の経験上、多くの人は最初はだいたい低くすぎる値付けをしがちですから、モニターとしてセールスをしてみるといいでしょう。

あとは、値付けテクニック的な話をすると、松と竹が近い価格、梅が極端に低い価格にすると売れやすいです。

  • 松:30万
  • 竹:20万
  • 梅:5万

のようにすると、なんとなく松と竹から選ぶべきな気がしてきますよね。

3.内容を決める

商品名を見て、価格を見て、最後に見るのが内容です。

商品名やコース名で約束したゴールへお客さんを連れて行くために、自分が何をするのかを決めていきましょう。

そして、内容を決めたら絶対にやって欲しいのが、価格と照らし合わせてちゃんと利益が取れるのかチェックすることです。

これも経験上、たまに採算が合わないサポートになっていることがあるので、ちゃんと採算が合うのかをチェックしましょう。

採算が合わない場合は、基本的には価格を上げましょう。

ステップ4:商品販売全体をデザインする

商品を企画したら、企画した商品が売れるように販促を作っていきます。

回数券や高単価のプログラムがネット予約では売れませんよね。

なので、お客さんがお店を知ってから購入に至るまでの流れをデザインしていきます。

販売全体の流れが綺麗に出来上がれば、高確率で売れますし、買ってくださいと言わなくても売れます。

究極的には、向こうから「どうやったら買えますか?」「買いたいんですけど」と言われます。

商品企画しても売れなければここまでのステップ全部意味がなくなってしまいますから、気合い入れて作っていきましょう。

「どうやったら買えますか?」と聞かれた話

冒頭で事例に挙げた、リラクゼーションサロンで新たにダイエットプログラムの販売をした時のことです。

初めてそのプログラムが売れたのは新規の方で、向こうから「買いたいんですけど」と言われました。

しかも、本格的なリリースをする直前にご新規さんから
「ダイエットがしたいんですけど、どうしたらいいですか?」
という趣旨のお電話がありました。

これからリリースという時期なのでなぜそんな問い合わせが来たかもわからず、とりあえず一度ダイエット相談にいらしてもらうことに。

話を聞くとその方は、たまたま公式LINEをオススメか何かで見つけて登録いただいていたということがわかりました。
(LINEの認証アカウントだとなるようです)

LINEではブログ更新のお知らせを送っていたので、数カ月にわたってブログを読んでいただいていたようです。

ブログにはダイエットの記事も書いていましたから、毎週ブログを見ることで

「ダイエットをお願いするなら絶対この人!」

と決めていたようで、ダイエットしたくてお電話したという経緯だそうでした。

なので、ご相談にいらした際には買う気できていますし、

「こんな商品があります」

とほぼメニュー表見せただけで勝手に売れたわけです。

プロとしての信頼を獲得し、商品へのニーズが高まればハードセールスをしなくても売れる典型的な事例です。

重要なのは関係構築とニーズ喚起

セールスを楽にするために必要な2つの軸があります。

それが関係性必要性です。

関係性とは信頼関係を作り、「あなたから買いたい!」を作ること。
これができてないと、誰でもいいと思われてしまい、リピートに繋がりません。

必要性とは、その商品が必要だと感じてもらうこと。
当然ですが、人は必要性を感じない商品を購入しません。

つまり、さっきのダイエットの例だと、元々ダイエットニーズが高まっていた人が、LINEを通じて関係性ができたからハードセールスなしにしれっと売れたということです。

関係構築の方法

関係構築の王道は、時間や回数をかけることです。
たった1回会っただけで信頼関係を作るというのは正直簡単ではありません。

なので最もセールスを楽にする(現場負担を減らす)方法は、先ほどの事例のように来店前に関係性を作っておくこと。

しかしこれにはややこしいWebの仕組みを作るなどの手間やマーケティングスキルが必要で、すぐ実践できるというものではありません。

そこで私がおすすめしているのは、まずはプロとしての信頼を獲得すること。

そのためには初回来店時にしっかりと理想の未来を聞き出すことです。

人は自分の話を聞いてくれる人に好感を抱きやすいです。
なので、ヒアリングでお客さんの話を聞ききって、目の前のお客さんが本当に望んでいる理想の未来はなんなのかを引き出しましょう。

「あなたの理想の未来を叶えるために私がサポートをします!」
とお約束をすることで、この人はプロとして私の問題を解決してくれると信頼してもらいやすくなります。

ニーズ喚起の方法

多くの人はニーズの喚起方法を間違えています。

「あなたこれ問題ですよね?こうすれば解決ですよ」
というのはニーズの喚起にはなっていません。

例えば、2020年はコロナ太りなんてワードが出るほど太った人が増えました。
しかし多くの人はそのうち痩せるとか、今すぐ痩せる必要はないと思ってダイエットをしません。

もし信頼関係のあるダイエットの専門家がいたとして、
「あれ、ちょっと太りました?」
「こうすれば痩せられますよ」
と言われたところで、本人が必要性を感じてなければ余計なお世話なわけです。

ニーズ喚起とは、

「これは問題なんだ!」
と本人に自覚してもらった上で
「解決したい!」
と思ってもらうことです。

コロナ太りの例で言えば、

「ついた脂肪は3ヶ月以内に落とさないと定着して痩せにくくなるんですよ」

と言えば

「そのうち痩せると思ってたけど痩せないのか…」
「太ったのが2ヶ月前だから、今月ダイエット頑張らないといけないかもしれない!」

と本人が思いますよね。

これがニーズの喚起です。

関係性と必要性を高めるために必要なのが「体験」

回数券やプログラムはネット予約で売れませんから、その販売のために必要なのが「体験」の場です。

まずは低単価や無料の体験に来てもらって、体験で本プログラムや回数券を購入してもらうという流れを作ります。

この手法をツーステップマーケティングと言います。
手前で単価の安い商品を売って、そのあとで本命商品をうる手法です。

エステやフィットネスなどは典型ですが、あらゆる業界で単価の高い商品を販売をするときに使われる手法です。

マーケティング用語では手前の単価の低い商品のことをフロントエンド商品、あとで売る本命商品をバックエンド商品といいます。

ここでは体験がフロントエンド商品、松竹梅で作った商品がバックエンド商品です。

フロントエンド商品の役割は集客とバックエンド商品の販売です。

バックエンド商品の役割は利益を生むことで、これが本命の商品になります。

体験の役割は集客ですから、価格は集客しやすい価格(3000〜5000円程度)で行うのが良いでしょう。

また、体験ではバックエンド商品が売れることも重要ですから、体験では関係構築とニーズ喚起をする必要があります。

販売全体をデザインする上で考えるべき2つの事

要するに、ここで考えなければいけないのが

  • いかに人が集まるフロントエンド商品の企画を作るか
  • いかにバックエンドが売れる体験の流れを作るか

この2つです。

フロントエンド商品の企画

企画が面白くなければ人は集めにくいです。
つまり企画は集客の9割を決めます。

しかも集めたお客さんたちがバックエンドを買わないと意味がありませんから、バックエンドを買いそうなお客さんをたくさん集めるフロントエンド商品を考えなければいけません。

企画を作る上で3つのポイントがあるので、これを最低1つは抑えて企画を作ってみましょう。

①キャッチーな企画であること

キャッチーな企画、面白そうな企画は人が集めやすいです。

これはある事例集で知った事例ですが、コロナ禍で大量に集客した整体の事例です。

その整体では、元々施術の後に不調を整える呼吸などをアドバイスされていたそうです。

緊急事態宣言下で店を開けられない間、「無料zoom呼吸レッスン」を開催したところ、大量のお客さんを集客できたということでした。

この企画の何がキャッチーかというと、大ヒット漫画(アニメ)の『鬼滅の刃』にあやかったこと。

鬼滅の刃の必殺技には「〇〇の呼吸」というネーミングがついていますが、それにあやかって企画を作ったそうです。

緊急事態宣言中は学校もお休みでしたから、子供と一緒に参加するお母さんを大量に獲得できたそうです。

キャッチーな企画はアイディア勝負になるので、こういうことが得意な人は意識してみると面白いフロントエンド商品が作れるかもしれません。

②すぐに結果が出るが物足りないこと

体験型のフロントエンド商品に必須なのは、小さくてもいいのですぐに結果が出ることです。
たった1回でこんな結果が出ますと訴求するだけでも集客がしやすいです。

また、当然ですがバックエンドを買ってもらうためには、何かしら結果を出さないと購入に至りませんよね。

例えばエステや整体、脱毛サロンなどは典型ですが、1回で何かしらの変化を実感するからお客さんはコースや回数券を買います。

また、基礎化粧品のドモホルンリンクルは3日間分の無料お試しセットがフロントエンド商品です。
この基礎化粧品にしては短い3日間という期間で結果を出さないと、バックエンド商品(定期購入)が売れないわけです。

そして体験型のフロントエンドでもう一つ重要なのが、満足させすぎないこと。

例えば、上記で例に出したものは全て、継続しなければ欲しい未来は手に入りません。

数日で元に戻ってしまうとか、使うのをやめたら効果が得られないなどがそうですね。

③ここから先は有料

上記の満足させすぎないに近いのですが、セミナーやレッスンなどの情報提供系のフロントエンドで重要なのは、無料で何でもかんでも提供しないことです。

以前、メイクレッスンの販売で実際にあったことですが、体験レッスンでフルメイクのレッスンをしていた時は全然バックエンド商品が売れませんでした。

体験でフルメイクを教えることで、お客さんは1回のレッスンで満足してしまっていました。

「きっとこれで明日から綺麗にフルメイクができる!」

そう思うから購入に至りません。

しかし、実際にはたった1回のレッスンで全て覚えられるわけがなく、現実的には家に帰ったらできないわけです。
つまり、お客さんは理想の未来に到達できないまま。

これでは双方にとって良くありません。

そこで、体験レッスンは眉毛の描き方に特化したレッスンにしました。

結果、
「眉毛だけでこれだけ変わるなら、フルメイクのレッスンをしたらもっと綺麗になれるかも!」
という期待感で、成約率は劇的に上がりました。

フロントエンド商品の流れ

実際にフロントエンド商品に来たお客さんにはバックエンド商品を購入してもらいたいわけです。

そのために思い出してもらいたいのが、関係構築とニーズ喚起。

関係性と必要性を高めていきながら、サービス提供をする流れが必要です。
今回はマンツーマンで体験のパターンで説明します。

ステップ1:相手の話を聞く

プロとしての信頼を獲得するためには
「あなたの理想の未来を叶えるために私がいます!」
と伝えることです。

そこで、来店してすぐのヒアリングで相手の話を徹底的に聞いて目の前のお客さんが持っている理想の未来を聞き出すことです。

今何に悩んでいるのか、最終的にどうなりたいか(理想の未来)を徹底的に聞いていくイメージです。

顧客理解のところで説明した顧客インタビューの手法がここでも使えます。

そしてヒアリングした結果、理想の未来からゴールを設定をしてそのためにはどうしたらいいか仮提案します。

この時に必要なのが、ニーズ喚起です。

お客さんが自覚していない問題を自覚してもらえるようにお伝えをしていきましょう。

また、同時に今回1回だけでは理想の未来に到達できないことも、合わせて伝えましょう。

ステップ2:実際に体験してもらう

ここで技術への信頼を獲得します。

ここではあなたの腕を存分に発揮してください。

一つ注意点があるとすれば、基本的にはプラス点を狙うのではなくマイナス点を避けましょう。

  • 技術がうまい
  • リラックスできて居心地がいい
  • 人柄が良い

これらは一見加点要素に見えますが、残念ながらお客さんにとっては加点するまでもなく当たり前のことです。

こういったプラス要因で競合と差をつけるのはとてもむずかしいです。

私たちがやるべきことは、マイナスを徹底して避けることです。

  • 技術が悪い(マッサージが痛いなど)
  • 話したくなさそうな話題を深掘りしてしまう
  • 自信なさげに喋っていて不安になる
  • デリカシーのない発言

こういったマイナスを避けるのは接客業において基本的なことですが、無意識にうっかりマイナス点を取らないようにしましょう。

ステップ3:体験した感想を聞く

体験が終わったら、感想を聞きましょう。

これは「よかった」とプラスの評価をお客さんから口に出してもらうことが目的です。

「続けたら変わりそう」なんて言ってもらえたら購入が決まったようなものです。

人は自分が言ったことと矛盾した行動をとりにくい一貫性の法則というのがあります。

ただ感想を聞いてもお客さんはよくわからないことがありますから、何が変わったかわかるようにビフォーアフターを比較できるようにしておくと良いです。

ステップ4:商品の紹介をする

最後に商品の紹介です。

お客さんはほとんどの場合、この時点で買うか買わないかすでに決めています。
なので営業本などにある小手先のセールステクニックはここではもう通用しません。

ここでやるべきことは、ヒアリング時に設定したゴールを達成するために何をしたらいいかを伝えることです。

松竹梅のメニュー表を見せ、それぞれの違いを説明しつつ、目の前のお客さんにとってどのコースがベストかを伝えましょう。

ちなみに、「高い商品を売りたくない」と言う方がたまにいますが、それはプロ失格です。

なぜなら、高い商品を売りたいくないのはあなたの都合です。
お客さんは高いお金を払ってでも、理想を叶えたいかもしれません。

お客さんのことを本当に考えるなら、提案をするべきです。

あなたはとにかくプロとして、お客さんの理想を叶えるためにはどの商品が一番いいのかを堂々と伝えてください。

最終的に決めるのはお客さんですから。

もし、お客さんが悩んで決められないようであれば背中を押すように「何でお悩みですか?」「何か不安なことはありますか?」と聞いてください。

大切なのは売ることではなく、お客さんの理想の未来に寄り添うことです。

おまけ:厄介なお客さんをどうするか

最初に顧客を絞る際に、不良客の基準を作ってもらいました。

あれはここで使います。

不良客の基準に抵触したお客さんはお付き合いをフロントエンドでおしまいにすれば良いのです。

バックエンドの提案をしない、次回予約を取らないことで、長期的にお付き合いをしなくて済むようになります。

(それでもネット予約で来ちゃう人は来ちゃいますけどね…)

 

以上がバックエンドが売れる体験の流れです。

この流れは集客を始める前にざっくりでいいので決めておきましょう。

ステップ5:実際に集客する

さて、最後のステップ、集客です。

多くの人がつまづき課題を感じるのが集客です。

集客に課題を感じた時に、多くの人は

  • SNS集客法
  • ブログ集客法
  • チラシ集客法

といった、集客媒体別のテクニックを学ぼうとします。

しかし、こういったことから学ぶと遠回りです。

集客テクニックは無限にありますし、その手法が使い古されると通用しなくなります。

そもそも集客活動は、狙ったターゲットに届けば何を使ってもいいわけです。

重要なのは
「あなたの望むものがここにあるよ!」
とペルソナに届けること。

ここではどんな集客媒体でも根底にある、基本の集客の流れをお伝えしていきます。

全ての集客に通じる集客の3要素

集客はチラシやSNS、ホームページなどの集客媒体だけでできるわけではありません。

  • 集客媒体
  • フロントエンド商品の紹介ページ(LP)
  • 予約フォーム

この3つの要素でできています。

 

集客媒体とは、お客さんがあなたのことを初めて認知する媒体のことです。

その集客媒体で興味を持った人が、詳細のページにアクセスします。
ここでニーズを喚起します。

マーケティング用語ではLP(ランディングページ)と言いますが、要はフロントエンド商品の紹介ページです。

詳細のページを見て予約を決めたなら、予約カレンダーやフォームからお申し込みをします。

この流れを理解してないと集客媒体ばかりに意識がいってしまいます。

そして、フロントエンドの企画が悪かったり紹介ページでの説明がわかりにくかったりしても気づきません。

だからこそ、集客媒体のテクニックを学ぶよりも先に、今集客できている媒体を使って予約までの流れを見直した方がよほど早く効果が出ます。

ちなみに、多くのサロンが使っているホットペッパービューティーですが、あれはこの3つの要素を全て兼ね備えていてサロンにとっては非常に楽な媒体です。

掲載料がかかるからホットペッパーを卒業したいというサロンオーナーは多いですが、ペルソナがホットペッパーを使うのであれば卒業する必要はないと思っています。

そうはいっても気になる集客媒体

そうはいっても、集客媒体に何を使うべきかは気になるところでしょうから少し触れておきます。

基本的に、集客は時間をかけるかお金をかけるかのどちらかです。

時間をかける=無料集客

無料集客というのはネットを使った地道な集客のことです。

例えば

  • InstagramやFacebookなどのSNS
  • ブログなどのテキストメディア
  • YouTubeなどの動画メディア
  • VoicyやPodcastなどの音声メディア
  • Googleマイビジネス

なんかがそうですね。

(ちなみにGoogleマイビジネスは今後有料化するかもという噂があったり、、)

来店前から関係構築をしやすいというメリットはありますが、更新をする必要があったり、初めてすぐにアクセスが集まるわけではないので、とにかく手間暇時間がかかります。

お金をかける=広告

媒体にお金を払って掲載をお願いするものや、お金をかけて集客活動をすることです。

  • クーポンサイト
  • 地域のタウン誌
  • ネット広告(Facebook/Google広告など)

これらは掲載する前に必ず、どれくらいの人がそれを目にしてくれるかなどのデータは媒体からもらっておきましょう。

また、チラシも印刷費だけではなく、配り方によっては広告費が必要です。

新聞折込、ポスティングなど業者に頼む経費も当然全て広告費です。

お金と時間どっちをかける?

私はお金をかけるのをお勧めします。

莫大な広告費を会心の一撃的にかけるのはダメですが、予算の範囲内で広告をかけるべきです。

時間をかけるというのは、結果がわからない日々が続くということです。

なにより、もしあなたが現状単価を上げられずに低めの単価で頑張っているのであれば、きっと忙しいと思います。

忙しいのにそんなことしてられますか?

ということです。

私としては、無料集客は忙しさから解放された後に取り組むべき2番目の施策だと考えています。

今集客できている媒体があるなら、それを引き続き使いましょう。

新たな媒体を学ぶよりも、今集客できている媒体を使い続ける方がリスクは少なくすみます。

よく悪者にされがちなホットペッパーなどのクーポンサイトも悪いものではありません。

使い方が下手で採算が取れないというだけです。

フロントエンド集客の3ステップ

では具体的に集客で何をすべきか順序立ててお話ししていきます。

ちなみに、もしあなたがホットペッパーなどのクーポンサイトを使っているのであれば、これだけで1ヶ月以内に結果がついてきます。

ステップ1:フロントエンド商品の紹介ページを作る

最初に必要なのがフロントエンド商品の紹介ページです。
これがなければ集客媒体をどうこうしても、予約に至りません。

ホットペッパーで言うところの「クーポン」がそうですね。
今回企画したフロントエンド商品をクーポンの一番上に持ってきます。

メニュー名と説明文に商品企画の際に作ったコンセプトを盛り込みましょう。

繰り返しになりますがコンセプトとは誰のどんな課題をどうやって解決するか。
これを明確に打ち出していれば、ペルソナに近いお客さんが集客できます。

もしホットペッパーを使っておらず、どうやって紹介ページを作ればいいかわからない場合、「ペライチ」という簡単にWebページが作れるツールがオススメです。

テンプレート(デザイン)の豊富なので、使いやすいものを見つけてみてください。
初めは無料で十分です。

ステップ2:紹介ページに予約カレンダーをリンクする

紹介ページを作ったら次は予約カレンダーです。

すでに使っている予約カレンダーがあればそれをリンクしましょう。

ホットペッパーを使っている場合は、ご存知の通り何もせずとも予約カレンダーはついているので大丈夫です。

ちなみにネット予約をしていない、電話でのみ予約を受け付けていると言うのであれば、これを機に導入をお勧めします。

24時間予約ができるのはお客さんにとっても利便性が上がりますから。

私のオススメはセレクトタイプという予約カレンダーです。
月額3000円程度で使えます。

予約カレンダーや予約フォームには2つ注意点があります。

一つ目は、情報を取りすぎないこと。

予約時に必要な情報ってそんなにありません。
おそらくお名前、電話番号、メールアドレスくらいで十分でしょう。

そこに住所や年齢など色々入力項目が多いと、入力するのが面倒くさくて予約をするのが面倒になったりします。

必要な情報だけを過不足なく聞きましょう。

二つ目が、デザインが古いツールは使わないこと。

数年前と今では大きく変わっていることがあります。

それはスマホの台頭です。

古いフォームや予約カレンダーは、パソコンでは綺麗でもスマホで見ると文字が小さくて見にくいなんてことがよくあります。

予約がしやすいか、ぜひご自身のスマホでチェックしてもらいたいです。

自社で予約カレンダーを使っている人は、ぜひチェックして欲しいです。

ステップ3:集客媒体を工夫する

体験などのフロントエンド商品への予約の動線を確保したら、最後に集客媒体です。

集客媒体は

  • リーチ数
    何人の人に見てもらったか
  • 予約率
    そのうちどれくらいの割合で予約に至ったか

この2軸で考えます。

リーチ数の最大化

集客媒体をたくさんの人に見てもらうためには、上でお話しした通りお金をかけるか労力や時間をかけるしかありません。
私がオススメしているのはお金をかけることです。

SNSなどの無料集客は最短で3ヶ月、普通にやったら半年一年以上かかる長期施策ですから、結果が出るまで長いです。

しかし予算があまりなく今すぐ低予算で集客したい場合、チラシを手配りでポスティングするなど手間をかける方法がオススメです。

集客は出来るだけ短期間で結果の出る方法を使ういましょう。

今集客できている媒体があれば、基本的にはそれをよりたくさんの人に見てもらうことです。

チラシの配布数を増やしたり、広告予算を増やしたりなどが考えられます。

予約率の最大化

集客媒体を見た人のうち、何人が予約したかが出れば予約率はわかります。

1万人にチラシを配って10人予約がきたら、予約率は0.1%です。
(ちなみに一般的にチラシの予約率はこの程度です。)

予約率を最大化するためには、予約メニューの1本化がオススメです。

例えばホットペッパーから最もきている場合、闇雲にクーポンを発行するのではなく体験だけ集中的に集めるなど工夫をする。

サロン情報のトップのキャッチコピーに商品企画の際に作ったコンセプトを盛り込んで、フロントエンド商品のクーポンを目につきやすい店舗トップやクーポン一覧の最上部に置くだけでも、フロントエンド商品への予約率は激変します。

チラシで集めている使っている場合、チラシではサロンの紹介ではなく、フロントエンド商品の紹介をする。

あれもこれもと色々なメニューを訴求したくなる気持ちはわかりますが、人は迷うと決断するのが億劫になりますから、出来るだけノーストレスで初回予約ができるようにお膳立てをしてあげましょう

ここまでが脱・安売り集客の基本的な流れになります。

最後に:安売り集客脱却に最も重要なこと

安売り集客をやめられれば、あなたにお願いしたいというお客さんに囲まれます。

単価の高い商品でも笑顔で購入してもらい、必要な売り上げは短い時間で売り上がることになります。

しかし、現状のまま安売り集客を続けると、値上げをすると浮気するお客さんに囲まれます。

技術に対して正当な報酬を得られず、働いても働いても儲からないのに一定確率で理不尽な要求をされたりします。

あなたが高い技術を持っているのに、見せ方・売り方がイマイチのせいで必要なお客さんに届いていないことは、あなたにとってもお客さんにとっても大きな損失です。

だからこそいち早く安売り集客をやめて、必要なお客さんに笑顔で正当な報酬を払ってもらうべきだと強く思っています。

ここまで脱・安売り集客の5ステップをお話ししてきました。

復習をすると

  1. 顧客を絞る
  2. 顧客の理想と現実を知る
  3. 理想の未来へ連れていく商品を企画する
  4. 商品販売全体をデザインする
  5. 実際に集客する

正直、この5ステップを愚直に実践することが安売り集客をやめる最短ルートだと思ってます。

しかし実際には、ここまで読まない人や、読んだところで行動しない人が9割です。

また1割がこの内容を実践しても、そのうちの9割は1回実践してうまくいかなければ諦めてしまいます。

このテキストを手に入れても100人に1人しかうまくいかないでしょう。

行動した人でも9割の人がうまくいかない理由はわかりきっています。

それは、仮説と検証を繰り返すという姿勢がないからです。

集客も経営も仮説検証の繰り返し

5ステップでやってほしいことはコンセプトと商品企画をして、動線を作ってリリースする。それだけです。

たったこれだけのことをなぜ多くの人ができないのかというと、どこかでコケたらコケっぱなしだからです。

「失敗した」
「自分には無理だ」

と言っている間にうまくいくわけがありません。

「なぜ失敗したのか?」
「どうしたら実現可能なのか?」

などの検証作業をしない限り、同じ失敗を繰り返し同じことで悩みます。

マーケティングにセオリーはあるけど正解はありません。

うまくいかない方法を一つ一つ潰して、うまくいく方法を見つけるしかありません。

5ステップを実践してうまくいかなかった場合、何かがズレています。

そのズレを見つけて改善し、予約率やバックエンドの成約率、あるいはリピート率などを改善していきます。

それはノウハウに頼るのではなく、地道に自分とお客さんのズレを研究して行くしかありません。

仮説検証の3ステップ

そうはいっても、これまで仮説検証し慣れていなければどうすればいいかわからないと思います。

私だったらこうやって考えるという仮説検証の思考の流れを書いておきます。

もし自分自身ですでに仮説検証をして経営をしているのであれば、仮説検証の考え方は概ねこの3ステップでやっていると思いますが、細かいところはあなたと違うかもしれません。

これはあくまで私の考え方であり絶対的な正解はないことを最初に断っておきます。

ステップ1:うまくいかない原因の特定

うまくいっていないのであれば、何がうまくいっていないのかをまず特定する必要があります。

集客と販売のどちらがうまくいっていないのか分けて考えると対策がしやすいです。

以下のような問いを自分にしてみて、全体の中でうまくいっていない部分を特定します。

■集客に問題がある場合に考えたいこと

リーチ数と予約率のどちらに問題があるのか?

リーチ数を増やす方法はないか?

そもそもペルソナにリーチできる集客媒体か?

予約率はWebで1%、チラシで0.1%以上あるか?

フロントエンド商品の企画は魅力的か?

フロントエンド商品の紹介ページで理想の未来の話をしているか?

予約フォーム・カレンダーはスマホで予約しやすいか?

■成約率に問題がある場合に考えたいこと

ヒアリングで理想の未来をお客さんから聞き出せているか?

来店から退店までの間にマイナスの印象を一つでも与えていないか?

体験で満足させすぎてはいないか?

ビフォーアフターにお客さんは納得しているか?

商品の紹介はわかりやすいか?専門用語などが満載になっていないか?

商品説明を自信なさげにしていないか?

お客さんが「理想の未来にいける」と思える提案ができているか?

ステップ2:改善策を練る

問題を特定したら、それを改善しましょう。

例えば
「予約率が悪いのは、フロントエンド商品の魅力が伝わっていないのでは?」
という仮説を立てたとします。

その場合どこを改善すべきかというと、フロントエンド商品の魅力を伝える部分ですよね。

具体的にいえば、紹介ページや集客媒体での表現です。

その仮説を検証するために、フロントエンド商品の紹介ページの文言を変えてみます。

この時、いくつか案を出しておくと、よりブラッシュアップされた改善案をアウトプットできます。

ステップ3:実際に改善してみて数字で比較する

改善策が出たら、最後が検証です。

実際に改善策をやってみて、うまくいったかどうかを検証します。

検証するときは
「なんとなくうまくいった」
「前月よりも良い気がする」
という感覚には意味がありません。

実際に数字を出すと、感覚と大きく違うことがよくありますから、必ず数字を出して比較しましょう。

ステップ1で特定した問題が集客なら予約数や予約率、販売ならば成約率を比較しましょう。

 

こういった検証を癖をつけると、売上アップの難易度は変わってきます。

私のオススメは月次で分析の日を決めることです。

毎月毎月小さく改善できますから、最低でも年間12回改善出来ますよね。

この改善の繰り返しがあなたの店を繁盛店にするか安売り店にするかの分かれ道です。

安売りをやめれば、求めている人に届く

脱・安売り集客の5ステップと検証方法についてお話ししてきました。

出来るだけ細かく書いたので長くなってしまいましたが、何をすべきかはわかっていただけたのではないでしょうか。

特に、ホットペッパーなどのクーポンサイトを使っているのであれば、正直今回の内容を実践するのは簡単です。
追加予算もかけずに企画と見せ方を変えるだけで絶対に変わります。

むやみに安くしてあらゆる人を集めるという発想を、いますぐやめてください。

あなたのサービスを本当に求めていて価値を理解できる人に届けることに集中すると、客単価が上がり、お客さんと長く付き合え、売上も利益率も上がります。

しかも、ストレスと労働時間を減らしながら。

このコンテンツが、その最初の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。