自分で店をやっていたり、事業をやっていると、色々なアイディアが浮かび様々なことをやりたくなるでしょう。
集客にSNSを使いたい!
あそこと提携したらもっとお客さん増えそう!
こんなアプリを開発したらお客さんたち喜びそうだなぁ。
などなど、現状をより良くするためにやりたいアイディアは色々出るでしょう。
とはいえ、そのアイディア全てをやることが正しい訳ではありません。
優先順位をつけてやらないことを決めていかないと、すぐにパンクしてしまいます。
とはいえ、改善すべきところがわかっていたり、これをすればうまくいく見込みが立っていたりするのに行動できないということは、あまり良い状態ではありません。
そしてこれは、よく相談されることでもあります。
「瀬尾さんのセミナーを聞いて、やろうと思っていたんですが、結局何もできないまま3ヶ月経ってしまいました」
この私なりの回答をここに書いておきたいと思います。
重要だが緊急ではない仕事は行動しにくい
フランクリン・コヴィー氏の『七つの習慣』にはこんな概念が出てきます。
「緊急性と重要性のマトリクス」は有名なので、ご存知の方もいると思います。
この図の示していることとして、緊急性が高いことはどんどんこなしていけるが、重要度が高く緊急度が低いもの(第二領域)は後回しになりがちということです。
そして、私のところに行動できないとご相談にいらっしゃる方は、まさに第二領域が行動できていないのです。
何が第二領域になるかはビジネスの状況によってそれぞれですが、傾向としては「未来のための仕事」は第二領域になりやすいなと思っています。
仕事には現在の仕事と未来の仕事がある
私は仕事には2種類あると思っています。
一つは、現在の仕事。
予約に入ったお客さんを接客するとか、そろそろ来た方がいいお客さんにリマインドのメールを送るとか、直近1〜3ヶ月の売上を作るための仕事です。
なので、私がセミナーなどで
「これをやるとすぐ成約率が上がります」
「これをやればリピート率が上がります」
という即効性のあるノウハウをお伝えすると現在の仕事の延長でできるので、すぐ取り組む人がほとんどです。
もう一つは、未来の仕事。
これは、すぐに結果は出ないけどビジネスの原理原則的に大事だったり、長期的にお店を続けていくために必要なことです。
「継続的にお客さんが来る仕組みを作りましょう」
「お客様の声を取ってホームページに掲載しましょう」
「コンセプトを練って、安売りをやめましょう」
「広告に頼り切るのをやめて、自社メディアを育てましょう」
ということは、現在の仕事の延長でできないことがほとんどです。
どちらかというと、じわじわと効いてくるようなものが多く、未来の仕事です。
場合によっては1ヶ月目から効果が出ることもありますが、タスク的には今の仕事の延長ではできません。
そうすると
「今月は繁忙期だから」
「決算で忙しいから」
「新学期で仕事もプライベートも立て込んでいるから」
と、いくらでも後回しができてしまいます。
多くの場合、私がお伝えしていることのうち現在の仕事の延長でできることは第一領域として処理され、未来の仕事は第二領域として処理される。
そして、第二領域を意識的に行動していく習慣がない人には、行動できないけどやった方がいいタスクとして自分自身を苦しめます。
第二領域を後回しにしてしまう3つの原因
向上心というものは、人間の本能には組み込まれていませんから、意識的に行動していくしかありません。
第二領域を後回しにしてしまうキーワードの一つが「時間」です。
時間的に急がないからこそ後回しにしてしまいますし、いつでもいいと締め切りが決まりません。
①タスクを細分化できていない
第二領域に限らず、タスクとして大きすぎるものは行動しにくいです。
例えば、
「お客さんの声をホームページに掲載する」
はタスクとして大きすぎます。
タスクというよりプロジェクトなんです。
(なお、私はタスクが3つ以上あればプロジェクトとして認識しています)
お客さんの声をホームページに掲載するためにはいくつものタスクがあるはずです。
- どんな形式(文章・動画・アンケートシートなど)で掲載するか決める
- どの人に協力依頼をするかリストアップする
- お客様の声を取らしてもらいたい方にアポイントをとる
- お客様の声をとるために実際にインタビューする
- インタビューした動画を編集する
- 動画をYouTubeにアップしてホームページに埋め込む
せめてこれくらいにタスクを分解しないと、行動するイメージがつきません。
②タスクと時間が結びついていない
タスクを分解したところでそれがどのくらいの時間がかかることなのか理解していないと行動しにくいです。
例えば上の例なら
「6つも工程があるのか…面倒臭いな…」
となりかねません。
でも
- どんな形式(文章・動画・アンケートシートなど)で掲載するか決める(10分)
- どの人に協力依頼をするかリストアップする(10分)
- お客様の声を取らしてもらいたい方にアポイントをとる(10分)
- お客様の声をとるために実際にインタビューする(各1時間)
- インタビューした動画を編集する(各1時間)
- 動画をYouTubeにアップしてホームページに埋め込む(20分)
と見込み時間があれば
「トータル3時間あれば終わりそうだな」
「実際にインタビューと動画編集が手間なだけだから、1~3までは明日の空き時間にやろう!」
と行動しやすくなります。
③時間と目的が結びついていない
これをやっても「時間がなくて…」という人はいます。
時間がないのではなく、時間を割けていないというのが正しいです。
言い換えれば、優先順位が低いんです。
なので時間を割けない理由は、目的と結びついていないのかもしれません。
目的を明確にすると動けるなんてこともあります。
行動できない場合の具体的対策手順
原因がわかったので次は対策です。
あなたが行動できないと思っている、あるいは後回しにしていると罪悪感を抱いているものに関してイメージしながら読んでください。
プロジェクトの目的を明確にする
ここでのプロジェクトの定義は「3つ以上のタスクのまとまり」のことです。
行動できないと思っているプロジェクトに対して、まずは目的を明確にしていきましょう。
なぜ、なんのために、そのプロジェクトをやるのか?
場合によっては、やる必要がないかもしれませんし、他のプロジェクトの方が優先度が高いかもしれません。
プロジェクトに締め切りを作る
目標を明確にし、そのプロジェクトが本当にやるべきものであれば締め切りを作りましょう。
締め切りのないタスクは一生終わりません。
締め切りの決め方としては、そのプロジェクトの目的や目標をいつまでに達成したいかから逆算しましょう。
例えば、目標を1年後に達成したいのであれば、そのプロジェクトはいつまでに終わらせておかねばならないのか?というように目標から逆算しましょう。
タスクに分解する
締め切りが決まったら、タスクに分解しましょう。
このとき、できるだけ細かく分解すると良いです。
目安としては、60分以内に終わる程度には細かくすると、実際にタスクをこなす時にサクサクこなせます。
タスクに見込み時間を書く
そもそも当たり前のことですが、タスク管理というのはスケジュールと結びついていないといけません。
プロジェクトの締め切りを決めてタスクを分解しても、いつやるのかが決まっていないと夏休みの宿題のようになってしまいます。
しかも夏休みの宿題と違って、締め切りを破っても叱ってくれる人はいないんです。
見込み時間があれば、
「このタスクは30分で終わるから、今日の14時がちょうど空いてるからそこで終わらせられるな」
とスケジュールに落とし込みやすくなります。
パワー時間をブロックする
タスクに締め切りをつけるだけではなく、実際にスケジュールに作業時間を確保します。
パワー時間というのは、スマホの電源を切って第二領域の仕事に集中する時間のことです。
これを、あたかも人との約束かのようにスケジュールに入れます。
ズラさず、その時間になったら予定通りにスマホの電源を落とし、PCのチャットなどの通知類も切ってその仕事に集中します。
パワー時間を週1時間でも取れば、1年間で52時間は確保できます。
どうです?進みそうだと思いませんか?
行動できないに対する処方箋
行動できない原因を知り、対策を知れれば
「ああまたずっと先延ばしにしている」
「なんて自分はダメなんだ…」
と無駄に落ち込む必要はありません。
そもそもそのタスクの目的は何か?やる必要があるのか?
いつまでにその目的は果たすべきなのか?
そしてそのためにはどのタスクをいつまでに終わらせておく必要があるのか?
このような計画を立てた上で、先延ばしにしない仕組みを作ることが大事です。
まずは、あなたの未来の売上を上げるための仕事は何があるか書き出してみてください。