瀬尾です。
「コミュニティの時代」と言われて久しいですね。
コミュニティビジネスも大流行です。
例えば私の競合に当たるビジネス塾なんかだと、卒業生コミュニティというものが盛んです。
フェイスブックグループや、ラインのオープンチャット機能を使って「卒業しても繋がっていられる」「コミュニティの人脈が使える」みたいな売りをしているところが多いですね。
こうしたコミュニティビジネスの盛り上がりを見ていると、「寂しさ」を埋める商品の重要性を感じます。
また、似たようなものだと、オンラインサロンなんかは典型的です。
オンラインサロンとは、オンラインを中心にした会員制コミュニティで、目的は会員同士が交流したり、同じ目的に向かって切磋琢磨したり、あるいは単なるファンクラブだったりします。
こういったコミュニティビジネスは一言でまとめると、グループ内でファンの熱量を高めて、持続的な収益につなげるというものです。
なので自社・自店でもコミュニティを作ろうと思っているスモールビジネス経営者は少なくないのではないでしょうか。
しかし、どうやったらコミュニティ運営ができるかわからない。
そんなあなたのために今回は、コミュニティ運営の二つの型とその作り方をお伝えします。
居心地の良いコミュニティ・悪いコミュニティ
コミュニティビジネスにおいて最大の失敗は「新規が入っていきづらい空気」を作ってしまうことだと思います。
コミュニティ運営や参加者のマネジメントに失敗すると、コミュニティ外側から見たときに
「入っていきにくいし馴染めない」
「宗教じみていて気持ち悪い」
「自分がいるべき場所ではない」
と、平たくいえば居心地が悪いと思われてしまいます。
こうすると新規はそのコミュニティに入ってきません。
適切なコミュニティ運営の型と運営方式を知ることで、自分の目的にかなったコミュニティ運営が可能になります。
コミュニティ運営の2つの型
コミュニティには大きく分けて『ピラミッド型のコミュニティ』と『円型のコミュニティ』があります。
ピラミッド型コミュニティ
ピラミッド型コミュニティというのは、リーダーや主催者をトップとした組織的なコミュニティで、コミュニティメンバー同士に序列があります。
ピラミッド型のコミュニティの代表的な例は宗教です。
多くの宗教は、教祖や救世主などをトップに据え、そこからピラミッド形式の序列があります。
例えばキリスト教の場合なら、ざっくりいうとキリストをトップに据え、そこから教会関係者、一般信者というような序列がありますよね。
仏教も、ブッタをトップにして、そこからお寺の関係者、檀家さんというような序列になっています。
そしてトップに近い人間ほど数が限られていますから、コミュニティの構成はピラミッド型になります。
こういったコミュニティは、トップに近い人間にほどメリットが大きい場合、中で競争原理が働きやすいです。
また、競争させることによりかえって強烈な帰属意識を持たせる傾向にあります。
例えば、起業系のオンラインサロンでは主催者が知名度のある人間の場合、ピラミッド型運営がしやすいです。
序列が上がっていってリーダーに近くなると、リーダーから仕事がもらえたり、一緒に仕事ができたりします。
(序列は稼いだ金額や成果などでなんとなく決まることが多いようです)
そしてそれを見た他の序列が低いメンバーが、もっと頑張ろう!とモチベーションに繋がります。
かつ、コミュニティ外の人間が
「このコミュニティに入ると憧れの○○さんとお仕事できるんだ!」
といって新規入会するようなサイクルが回っています。
また、MLMや代理店ビジネス、協会ビジネスもピラミッド型のコミュニティですね。
MLMはわかりやすく売上高に応じてランクが決められてお理、ランクによって報酬の割合が違います。
もちろん、ランクが上がると報酬の割合が高まります。
目的に向かって切磋琢磨させるようなコミュニティにしたい場合、ピラミッド型が相性が良いでしょう。
円型コミュニティ
円型コミュニティは、主催者やリーダー、あるいはテーマを中心においたコミュニティです。
参加者同士に序列はありません。
中心からの遠近はありますが、それは偉い偉くないという序列ではありません。
円型コミュニティの典型例は、サークルです。
私は大学時代写真サークルに入っていましたが、メンバー同士に写真の上手い下手はありますが、序列はありません。
「誰が上手いから偉い」という価値観ではありませんでした。
こういった円型のコミュニティではコアファンからライトファンまで幅広く対応でき、全員が居心地よく過ごせることを目指します。
例えば、交流会、勉強会、女子会、サードプレイスとしての居心地などを作る目的のものは円型運営をしたい方が良いでしょう。
こういった円型のコミュニティは、序列よりも中心に何を吸えるかが重要になってきます。
中心が人物ならファンクラブ的な運営になりますし、中心がアクティビティなら部活的になります。
これは個人的な見解ですが、今流行っている「コミュニティ」は円型を指していることが多いように感じます。
コミュニティの作り方
コミュニティを作る方法は、コミュニティの軸を決めて、参加者のマネジメントを行い、フィードバックをもらって改善するだけです。
5つのステップで解説していきます。
1.コミュニティの運営目的を決める
流行りものなので、コミュニティを作ることが目的化してしまいがちなんですが、ビジネスに取り入れる以上コミュニティは業績を上げる手段の一つです。
なので、コミュニティを作るビジネス的な意図から考えると意味のあるコミュニティ運営になると思います。
例えば、
「脱落客を減らす目的で、卒業生コミュニティを作る」
「見込み客を教育・獲得する目的で、Web集客勉強会コミュニティを作る」
「新規客を固定客化するために、店を中心にした地域コミュニティを作る」
というように、コミュニティをあなたのビジネスに取り入れる際にどういう役割を担わせるかを決めます。
2.コミュニティの旗印を決める
役割を決めたら、次はコミュニティの旗印です。
コミュニティというのは、何らかの共通する目的があって集まっています。
旗を立てるから人が集まるわけです。
その旗になんて書いてあるかで、人が集まるか否かが決まります。
例えば起業塾の卒業生コミュニティを作るとして、
「脱落客を減らす目的で卒業生コミュニティを作ってます」
では、もちろん誰も集まりませんよね。
いわば対外的な目的、つまり旗印が必要なわけです。
旗印に重要なのは共感性です。
例えば
「知識と経験をシェアして一緒に成長できる仲間を作る」
みたいなことです。
「そうそれが欲しかったの!」
「私にも応援させて!」
と思われるような共感性の高い旗印を作ると人が集まりやすいです。
3.運営スタイルを決める
コミュニティの目的と旗印によってピラミッド型か、円型のどちらが相性がいいかを決めます。
成長・競争などのテーマなら、ピラミッド型が相性が良いでしょう。
アワードなどやったりすると盛り上がると思います。
居心地・楽しさ・寂しさの改善・居場所を作りたいなら円型が相性が良いでしょう。
和気藹々感がほしければ断然円型です。
これは個人的な印象なんですが、ビジネス系コンテンツやプロ集団向け以外でピラミッド型運営は難しいと思います。
というのも、時代的に「切磋琢磨する仲間」よりも「寂しさを埋める仲間」の方が求められているように感じます。
だからこそ昨今コミュニティの重要性が叫ばれ、多くの円型コミュニティが流行していると見ています。
さて、ここまで決めればコミュニティの軸が決まりました。
ここからは人を集めた後の話になります。
4.参加者マネジメントをする
目的、旗印、運営スタイルを軸にコミュニティを運営していきます。
参加者が軸からはみ出さないようにルールを作りましょう。
例えば
目的:脱落客を減らすために起業塾卒業生コミュニティを作る
旗印:知識と経験のシェアをして、一緒に成長できる仲間を作る
運営スタイル:円型
運営手段:Facebookグループと月1回のセミナー
というコミュニティを運営するとしましょう。
ここから逸脱しないように参加者をマネジメントしなければいけません。
私だったら
・外部の人間を勝手に呼び込むことを禁止
(目的とずれるため)
・Facebookグループに宣伝を投稿するのは禁止
(旗印とずれるため)
・質問や事例シェア歓迎
・稼いだ金額や参加歴の長さで特別扱いをしない
(円型運営とずれるため)
・人格否定をするような投稿は厳罰
というルールを作ります。
こういったルールは守ってもらうためには、こちらもルールを守らなければいけません。
例えば「事例シェアを歓迎する」というルールを作ったならその姿勢を率先して見せる必要があります。
運営側が徹底しないとその文化はコミュニティに根付きません。
具体的には事例シェア投稿にコメントをつけたり、実際に会った時に投稿者に「あの投稿みんなの役にたつと思うよ」と声をかけたりすることができますよね。
また、円型コミュニティでは新しい人間に対してマウントを取らせないというのを徹底する必要があります。
これは単にルールにするというよりは、主催者の態度が影響するところだと思うので、最も気をつけるべき点でしょう。
反対に、ピラミッド型にするなら序列の価値を伝え、
「上を目指したい」
「ああいう風になりたい」
などと思わせていくマネジメントが必要になります。
5フィードバックをもらいまくる
コミュニティは生き物です。
どんな人が参加するかで変わってきます。
なので常にフィードバックをもらう必要があります。
また多少の入れ替わりがあっても、基本的には長く続けてもらうものです。
そのためには、参加者の不満の種を一つ一つ潰していかないといけません。
大量のフィードバックをもらい、改善を続けることでコミュニティが健全化します。
まとめ
コミュニティは、目的と旗印と運営スタイルの軸を作り、参加者マネジメントを徹底し、改善を続ける必要があります。
特にコミュニティの旗印と運営スタイル、参加者マネジメントがずれていると新規に強烈な違和を感じさせることになりますから、ここは一貫性を持たせましょう。
実際運営してみると思ったのと違ったなんてこともあったりしますが、それはその場で改善していく必要はあります。
ただ、仮決定でもいいのである程度決めておくことで大きくブレることがなくなります。