瀬尾です。
いかにお客さんと長くお付き合いするかでビジネスは安定します。
一般的に新規客に商品を売るには、既存客に売るよりも5倍のコストがかかると言われています。
ということは、利益率がいいのは既存客です。
逆に言えば、新規を狩り続けるようなビジネスはビジネスではありません。
特に人口減少社会ですから、これからは新規の獲得が難しくなっていくことは明白ですから、いかにリピートしてもらうかが重要です。
また、長くお付き合いするお客さんが多いというのは言い換えればLTVが高まりますから、新規獲得に使える金額も増えます。
しかし、リピートのないビジネスというのは存在します。
・建売住宅の販売などの不動産業
・ブライダルや葬儀などの冠婚葬祭ビジネス
・教育や資格取得などの学校
などは一般的にリピート産業ではありません。
不動産は最もわかりやすいと思いますが、一般的に住居を購入したら長年そこに住み続けますし、住み替えを行うとしても短くて数年後です。
冠婚葬祭もそうです。
同じ人が複数回結婚したりも少ないですし、複数回喪主を勤めることも稀でしょう。
家族単位でのリピートはあるかもしれませんが、それでも何年もかかったりしますからそれをリピートと呼んでいいのかは疑問です。
学校も同じように、卒業すれば能力があるとみなされ、もう一度通うことは基本的にはありません。
学校教育は際たるものですが、教習所などの資格系の学校でもそうです。
このようなリピートのほぼないビジネスで、いかにお客さんと長くお付き合いをするかを今回は考えていきたいと思います。
必要なのはゴールの再設定
非リピート産業で長くお付き合いするなら、自分が何屋なのかを再定義することが最初の一歩です。
言い換えればお客さんのゴールを再設定することです。
いくつか事例を挙げて説明します。
メイクスクールの例
このメイクスクールはプロの養成ではなく一般の女性がメイクを習いに来るようなところです。
メイクレッスンばかり売っていても卒業してしまいますから、リピートに繋がりません。
卒業は言い換えると脱落客化です。
このスクールでは、一旦レッスンのコースを購入した後はそのまま卒業してしまっていました。
お客さん達もプロを目指しているわけではないので、自分のメイクをある程度綺麗にできるようになったら卒業してしまい、リピートして通うということがほとんどありません。
つまり、高単価商品(レッスンのコース)を購入する人を探し続ける必要のあるビジネスモデルでした。
そこで、ビジネスの目的やコンセプトを深く聞いていくと
「メイクで外見を変えることで自信がついて、より良い人生を歩むことができる」
という言葉が出てきました。
つまり、「女性に」「外見を変えて人生を好転させる」という変化をもたらしたいのです。
これがゴールの再設定です。
メイクスクールだと思っていると、メイクレッスンを売ることしかできません。
しかし、「女性の外見を変える屋さん」と自分の商売を再定義すると、ビジネスの役割が変わってきます。
単にメイクレッスンを提供する人から、「女性に美容を通じて人生を好転させる人」とビジネスの役割が変わりました。
つまり、外見を変えるものであればなんでも提案できるようになったわけです。
そうするとスキンケア製品の物販や、ダイエットプログラムの提案、美容室の紹介など多岐に渡ります。
レッスン自体をリピートしなくても、他の商品や他社のコンテンツを販売や紹介をすることで、長くお付き合いできるようになっています。
結婚相談所の事例
結婚相談所もリピートされない代表的なビジネスです。
その結婚相談所は、すでに明確な「提供すべきゴール」がありました。
それは
「結婚に縛られない、人生のパートナーを探すお手伝い」
というものでした。
結婚というのはパートナーシップの一つの形であり、形にはこだわらない。
結婚というゴールに向かうのではなく、人生を支えあるパートナーを得るというゴールに向かうお手伝いをします。
というコンセプトの結婚相談所でした。
単なるマッチングサービスだけでは、結婚相手やパートナーが見つかったらおしまいです。
そこでそのビジネスでは、マッチングサービスの手前で、コミュニケーションプログラムを提供していました。
コミュニケーションというのは健全なパートナーシップの構築に必要なスキルだという想いからです。
また、婚活市場では写真の印象がかなり重要になってくるため、女性に向けてはメイクや美容に関する講座も開講しています。
もしかしたら、この相談所で結ばれたカップル向けに、さらにコミュニケーションなどのプログラムを提供することもできるかもしれません。
このように「誰に」「どんな変化を提供するのか」というゴールの再設定をすることで、あらゆるものを販売できるようになり、長くお付き合いすることができるようになります。
ゴールの再設定に必要な3つの質問
とはいえ、ゴールを再設定しようと言われても、いきなりできないでしょう。
そこで、3つの質問を用意しました。
この質問を紙に書き出して、あなたもお客さんのゴールを再設定してみて下さい。
あなたのお客さんは誰ですか?
つまり、ペルソナを設定しましょうということです。
ペルソナが見つからない限りゴールは見つからないままですし、ビジネスそのものも散漫とします。
ペルソナの設定方法はこちらの記事をご覧ください。
その人の理想と現実は?
ペルソナが決まったら、ペルソナが現時点でどんな不満や不安、恐怖を抱えているかを書き出します。
それがペルソナの現実です。
そして、ペルソナが目指している理想の姿を書き出します。
その理想と現実を埋めるのがあなたの商品です。
とはいえ、理想と現実はこちらが想像してもそれはただの妄想。
重要なのはお客さんの生の声を聞くことです。
かの有名な経営学者ピーター・ドラッガーも
「顧客を想像してはいけない、顧客に直接聞かなければならない」
と言っています。
アンケートやインタビューを実施して実際の声を聞くことが重要です。
ここまでわかれば、「誰のどんな理想を叶えるのか」というゴールの再設定ができているはずです。
あなたはどういう手段でその人を理想まで連れていきますか?
どんな商品でその理想まで到達させるか、実行手段を決めましょう。
多くの場合、自社の力だけでは及ばないものが理想だった時に自社の力で及ぶ範囲だけで商品提供しようとしがちです。
しかしそれはお客さんから見れば、理想の手前までの商品ですから「帯に短し襷に長し」と魅力に欠ける商品になります。
そのときは他社の力を借りましょう。
冒頭で挙げたメイクスクールは、ダイエットやヘアなどは自社でできませんでした。
なので紹介をするという形でお客さんの理想を叶えていきました。
お客さんの理想を叶えるために、必要なものは書き出して起きましょう。
まとめ
リピートしてもらえれば利益率が上がり、ビジネスは安定します。
非リピート産業でリピートしてもらうためには、お客さんのゴールを再設定しておく必要があります。
そのためには顧客を定義し、顧客リサーチを行い、ビジネスを組み替えていく必要があります。
つまりビジネスモデルの大転換です。
正直、このブログを読んですぐに成果が出るようなものではありません。
上で挙げた3つの質問も、何度も考えて試行錯誤する中で、ゴールが再設定されていくでしょう。
新規を取り続けることは確実に難しくなっていますから、今のうちにゴールの再設定に取り掛かることをお勧めします。